『カーローンは経費で落とせないんでしょ…?』
『ローンだと経費で落とせるのは利息だけって聞いたけど』
結論を先にいうと、カーローンで車を購入した場合でも経費で落とすことは可能です。
車の購入費用は減価償却費という方法で計上して経費で落とせるのです。
ですから、車のローンでは利息だけしか経費で落とせないということはありませんので安心してください。
車のローンは経費で落とせる?
カーローンは借入金が賃借対照表上で負債として分類されるため、元金は経費計上できません。
ですが、車は固定資産とみなされるので車両代(元本)は減価償却費に変えてから経費として落とすことが可能です。
あくまでも、毎月の支払い(元本)は車両代金の返済なので直接経費で落とせないだけであって、減価償却費に変えれば問題なく経費で落とせるということです。
直接経費で落とせないがためにカーローンは経費で落とせないと勘違いされてしまう方もいらっしゃいますが、ご安心ください。
現金一括でも分割でも、車両代は減価償却資産に計上して経費におろす、これは覚えておきましょう。
また、ローンの場合は利息を経費に入れることができます。
車両代(元本)→減価償却費
利息→利子割引料
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車をローン購入する上で必ず知っておくべき減価償却とは
減価償却とは
車をローンで購入した場合、減価償却を反映させることで経費計上が可能になります。
では、この減価償却とはどのようなものなのか?説明します。
減価償却とは「購入した固定資産を耐用年数に応じて経費化すること」です。
※車は事業用として購入すると固定資産扱いになります。
車は時の経過と継続使用することで、その価値が下がっていきます。
そのため、毎年一定の計算方法で求めた減価償却費を計上し、固定資産の金額を減少させていくのです。
耐用年数とは
耐用年数とは「その固定資産の使用可能と見込まれる期間」のことです。
そして耐用年数に応じて経費していくことを先述した減価償却と言います。
車の耐用年数は法律で以下のように定められています。
軽自動車:4年
耐用年数は新車で購入した場合を基準にしているので、中古車を購入した場合は経過年数を差し引いた年数を耐用年数となります。
たとえば、2年落ちの普通自動車なら6年-2年=4年となるので、この場合の中古車の耐用年数は4年で減価償却費を計算します。
定額法と定率法
減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」の2つあります。
- 定額法
毎年同じ金額で減価償却していく計算方法。「購入価格÷耐用年数」の金額を経費計上する。個人事業主/自営業に適用される。
- 定率法
未償却残高に一定率を乗じて毎年の減価償却費を計算する方法。購入当初の償却が大きく、年々償却額が少なくなっていくのが特徴。法人に適用される。
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減価償却の計算方法
では、車の減価償却の計算方法を解説します。
減価償却費の計算式は定額法と定率法で異なりますので注意してください。
定額法:減価償却費=取得価額×償却率
定率法:減価償却費=(取得価額-減価償却累計額)×償却率
償却率は国税庁HP掲載の国税庁「減価償却資産の償却率等表」で確認できます。
たとえば、150万円の新車の軽自動車を定額法・定率法それぞれで減価償却する場合の償却率は、
定額法なら償却率は「0.250」、定率法なら償却率は「0.500」となります。
次で定額法と定率法で計算した場合の減価償却費の違いを見てみましょう。
定額法で計算したときの減価償却費
例)200万円の普通自動車を購入した場合の減価償却費
200万円×0.617=334,000円
※償却率は国税庁「減価償却資産の集客率等表」を参照
200万円の普通車を定額法で償却すると、減価償却費の推移は次のとおりです。
購入年 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | |
---|---|---|---|---|---|---|
減価償却費 (経費) |
334,000円 | 334,000円 | 334,000円 | 334,000円 | 334,000円 | 329,999円 |
期末帳簿価格 | 16,666,000円 | 1,332,000円 | 998,000円 | 664,000円 | 330,000円 | 1円 |
定額法は毎年バランス良く経費にできるイメージです。
定率法で計算したときの減価償却費
例)200万円の普通自動車を購入した場合の減価償却費
2021年:200万円×0.333=666,000円
2022年:(200万円-666,000円)×0.333=444,222円
以降省略…
※償却率は国税庁「減価償却資産の集客率等表」を参照
購入年 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | |
---|---|---|---|---|---|---|
減価償却費 (経費) |
666,000円 | 444,222円 | 296,296円 | 198,222円 | 198,222円 | 197,037円 |
期末帳簿価格 | 1,334,000円 | 889,778円 | 593,482円 | 395,260円 | 197,038円 | 1円 |
定率法では早い段階で高額経費になるイメージです。
現金一括とローンはどっちがお得?
事業用の車を購入するうえで現金一括とローンどちらがお得なのか?が気になるところだと思います。
たとえば、150万円の軽自動車を購入した場合の1年間の減価償却費は、
150万円×0.250=375,000円
これは現金一括でもローンでも同じになります。
もし、5年ローンを組んだ場合、利息を除いて均等に払うと毎月の返済は25,000円。
年間の返済額は25,000円×12ヶ月=30万円です。
年間の返済が30万円なのに、経費で375,000円も落とせます。
減価償却すれば、ローンの返済額よりも多くの経費が落とせるうえにローンを完済していなくても計上できるのです。
これだけを聞くと、現金一括購入は損した気分になるかもしれません。
しかし、ローンには金利がかかるので利子の支払いが生じます。
利子の支払い部分は必要経費となりますので、一括だろうとローンだろうと減価償却費の計算には影響しません(どちらでも同じ結果となる)。
ローンの場合は利子の支払いが実際に生じるので、現金一括で購入するほうが余計な経費はかかりません。
単純にお金の出入りだけで見ればローンのほうが損となります。
ローンで購入した車をプライベートでも使用する場合
個人事業主の場合、車を100%事業用として使用するのではなくプライベートでも使用するケースがほとんどではないでしょうか。
その場合、当然ながら減価償却費は100%計上することはできません。
たとえば、事業用に70%しか車を使用せず後はプライベートで使っているのであれば、減価償却費は仕事に使用している70%を計上します(これを家事按分と言います)。
たとえば、150万円の軽自動車を購入した場合の1年間の減価償却費は、
150万円×0.250=375,000円ですが、
仕事用として使用する割合が70%であれば、
375,000円×70%=262,500円が減価償却費として経費で落とせる計算になります。
1年の途中でローンで車を購入した場合の経費(減価償却費)は?
1年の途中でローンで車を購入した場合は、その年の減価償却費は減りますので注意が必要です。
たとえば、5月に購入した場合、購入した年は7ヶ月間しか使用したことにならないので、購入した年の減価償却費は7ヶ月分しか計上できません。
都合にもよるとは思いますが、車をローンで購入する場合も決算月の翌月に合わせれば年内の経費を多く計上できます。
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中古車をローンで購入した場合も経費で落とせる
中古車をローンで購入した場合も経費で落とせます。
計算方法は、次のとおりです。
法定耐用年数を経過している場合
法定耐用年数×20%
法定耐用年数を経過していない場合
法定耐用年数-経過年数+(経過年数×20%)
※端数は切り捨て、2年未満のものは2年で計算します。
例1)新車から7年経った中古車(普通車)を購入した場合
法定耐用年数6年×20%=1.2年
→2年に満たない場合は減価償却期間は「2年」となる
例2)新車から3年経った中古車(普通車)を購入した場合
法定耐用年数6年-3年(経過年数)+(3年×20%=0.6年)=3.6年
→端数は切り捨てとなるため減価償却期間は「3年」となる
よくある質問
Q:所有権がついてなくてもローンは経費で落とせるの?
A:車検証の所有者欄がディーラーやクレジット会社の名前になっている場合(所有権が自分ではない)でもローンは経費で落とせます。あくまでも、ローン返済額ではなく、車両代金を減価償却した金額を経費として落とせます。
Q:車両以外で経費で落とせるものはありますか?
A:減価償却として扱うものは「車両代金」「納車費用」「オプション費用」、通常の経費として扱うものは「自動車税・重量税・取得税」「自賠責保険」「登録費用」などです。自動車保険料や駐車料金、ガソリン代、車検代金なども経費で落とすことが可能です。